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肝臓がんは治る?肝臓がんの治療法と名医を見つける方法について解説

コラム

肝臓がん(肝細胞がん)の発症はがん患者全体の6番目に多く、日本では年間約3万人が新たに肝臓がんと診断されています。肝臓がんには、肝切除だけでなく多くの治療法があり、的確な診断と治療を受けるためには、経験豊富な肝臓専門医に受診することが重要です。

この記事では、肝臓がんの基本知識から治療に関する情報、および名医を見つける方法まで詳しく解説します。

肝臓がんの症状と原因

肝臓がんでは、多くの場合ほとんど自覚症状がなく、医療機関での定期的な検診や他の病気の検査時などに発見されることも少なくありません。このため肝臓は「沈黙の臓器」とよばれています。症状の出現は病状が進んでから認められることが多く、慢性肝炎・肝硬変に伴うものと肝臓がんそのものによる症状とがあります。進行した場合には、どちらの場合も倦怠感、浮腫、腹水、黄疸、腹部圧迫感などの症状が出ることがあります。肝臓がんでは、痛みが出ることは非常に少ないですが、破裂が起こる前(切迫破裂)には右上腹部痛が起こることがあります。

肝臓がんは、慢性肝炎や肝硬変など肝臓に病気がある場合に発症することが多く、正常な肝臓から肝臓がんが発症することはまれです。慢性肝炎や肝硬変および肝臓がんの原因となる基礎疾患としては、C型肝炎やB型肝炎ウイルスなどのウイルス性肝炎が多くを占めています。ただ、最近では肥満やメタボ、多量飲酒による脂肪肝が原因となっている場合が増えているので、検診などで脂肪肝を含めた肝障害を指摘された方は、肝臓がんの検査も兼ねて肝臓専門医の診察を受けて頂くことをお勧めします。

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肝臓がんのステージと治療選択について

肝臓がんのステージ(病期)は、がんの大きさや個数、がんが肝臓内にとどまっているか、ほかの臓器まで広がっているか(転移)によって決まります。ステージは肝臓がんの状態のみを示すものであり、治療法の選択とは必ずしも一致しません。ここが他のがんの治療と大きく異なる点です。肝臓がんの多くが慢性肝炎・肝硬変を背景として発生するため、肝機能の状況(肝予備能)と腫瘍の状況(ステージ)の双方を踏まえて治療方法を選択する必要があります。つまり、ステージIの肝臓がんであっても、肝予備能が悪い場合(肝不全の場合)などは手術が出来ないこともあるのです。

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肝臓がんの治療について

肝臓がんの治療は、手術、局所療法(ラジオ波焼灼療法・マイクロ波焼灼療法など)肝動脈化学塞栓療法、肝動注化学療法、薬物療法(分子標的薬治療)などが行われます。肝予備能が悪い場合には肝移植が行われることもあります。

手術

手術(肝切除)の適応は、肝予備能が良好な場合で、切除後に肝臓の量および予備能をどれだけ残せるかによって判断します。肝臓の場合、胃などのように臓器全体を除去してしまう「全摘手術」は出来ないからです。肝硬変が進行し肝機能が低下している場合には、がんのステージが良好でも、肝切除よりも別の治療法が勧められることもあります。さらに肝臓がんが肝臓内に留まっているケースで、肝予備能がかなり悪い場合には肝移植が勧められることもあります。

局所療法(ラジオ波焼灼療法・マイクロ波焼灼療法など)

腹部超音波などで見ながら体の外から直接腫瘍に特殊な針を刺し、局所的に腫瘍を熱凝固壊死にて治療を行う方法です。手術に比べて体への負担の少ないことが特徴です。手術に比べ肝予備能が多少悪い状態でも、がんの大きさが3cm以下、かつ3個以下の場合には実施可能です。

肝動脈化学塞栓療法

いわゆるカテーテル治療で、腕もしくは鼠径部の動脈からカテーテルと呼ばれる細く長い管を肝動脈まで進め、がんを栄養している動脈から抗がん剤を注入し、さらにその動脈を塞栓することで、がん細胞を壊死させる治療法です。

一般的には、がんが肝臓内に多発し、手術や局所療法が困難な場合などが対象となりますが、局所療法や薬物療法と組み合わせて行うケースも増えており、さらに塞栓物質や手技の違いなどによって、以前よりも治療効果が高くなっています。

薬物療法

最近の薬物療法は肝臓がんの血管新生を抑える薬剤(分子標的薬)が中心となっています。肝臓がんは血管および血流が豊富な腫瘍のため、血管が新たに出来上がるのを抑える(血管新生抑制)薬物治療が効果を示します。

ソラフェニブはじめ、レンバチニブ、レゴラフェニブ、ラムシルマブ、カボザンチニブなど、数々の薬物がどんどん登場し、有効性が示されており広く用いられています。

また最近では、免疫療法(免疫チェックポイント阻害薬)と分子標的薬の併用療法など、より効果的な治療法が開発されています。肝切除や肝移植、局所療法、肝動脈化学塞栓療法で効果が期待できないような進行性の肝臓がんで、全身状態と肝予備能がともに良好な場合が、薬物治療の対象になります。

肝臓がんは治るのか?早期発見のメリット

肝臓がんは慢性肝炎や肝硬変などの慢性肝疾患がある方に発症するため、慢性肝障害がある方が血液検査および腹部エコー・腹部CT検査などの定期的な検査をすれば早期発見・治療が可能です。

慢性肝炎では年率0.2~5%程度の肝臓がん発症率にも関わらず、肝硬変になると年率4~7%の発症率とかなり高くなります。このため、肝硬変患者では検査の頻度を増やすなどの取り組みが重要となってきます。

肝臓がんは治るのか?」― これは多くの人が抱く疑問ですが、早期に発見すれば治癒が期待できます。ただし、肝臓がんは慢性肝炎や肝硬変を基盤として発症するため、再発が多いのも特徴の一つです。

例え肝臓がんを切除しても、肝臓の別の場所から新たにがんが出来てくることが多いのが肝臓がんなのです。このため、肝臓がんの治療後も肝臓専門医に定期的に検査、治療を受ける必要があります。

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肝臓がんになったら名医に診てもらうべき理由

「がん」という診断を受けたとき、最も重要な決断の一つは、治療を担当する医師をどう選ぶかです。特に肝臓がんの場合、肝切除だけでなく多くの治療法があるため、最適な治療法を選択するためには医師の豊富な知識と経験が重要になります。

また、肝臓がんはステージだけでなく、肝予備能を考慮した治療法の選択が必要となるため、良い医師、いわば「名医」に診てもらうことはその治療結果に大きな影響を及ぼします。

外科切除と局所療法においては、それぞれ名医が異なります。外科切除の名医は、肝切除後の肝不全を防ぐための手術テクニックをいくつも持っているため、一般の外科医では切除不可能な症例でも切除可能となる場合があります。

また、局所療法の名医であれば、腫瘍が大きくかつ多い場合でも治療できることがあります。

名医に診てもらうことで、患者とその家族が自分の病状を理解し、治療の決定を下す手助けをしてくれますので、治療に対する不安など精神的な面でもサポートを受けることができるでしょう。

肝臓がんの治療で名医を見つける方法

肝臓がん治療の成功には、最適な専門医を見つけることがいかに重要かお分かりいただけたかと思います。しかし、多くの患者さんやご家族が困るのが、どうしたら名医を見つけることができるのかという問題です。以下に、肝臓がんの治療における名医を見つけるための具体的なアプローチ方法をご紹介します。

まず一つ目の方法は、紹介をお願いすることです。主治医や信頼する医療関係者から肝臓がんの専門医を紹介してもらうことができます。一般的にはお住まいの地域の中で比較的有名な専門医を紹介してくれると思います。

二つ目の方法は、医療情報の公開データを活用することです。医療機関のウェブサイトや医療情報データベースで、病院や医師の専門分野、経験、実績を調査することができます。また、各医療機関が提供する肝臓がんの治療方法、手術件数、再発率などの情報も参考にすると良いでしょう。

三つ目の方法は、患者支援団体(肝炎友の会 など)やオンラインコミュニティを活用することです。他の肝臓がん患者やその家族から医師や病院の情報を得ることができます。実際に同じ病気を経験した人々からの情報は、医療者だけでは得られない貴重な視点を提供してくれます。

しかしながら、これらの方法で名医を探すには時間とエネルギーが必要です。また、必ずしも最高・最適な名医に行き着くとは限りません。このような困難さを解決するために、BeMECでは各診療科の教授陣によるネットワークを活かした名医紹介サービスを提供しています。

▶︎名医とは??BeMECが考える名医の3つの定義

BeMECは日本最高峰の名医紹介サービスを提供

BeMECの名医紹介サービスは、医療の専門知識と広範な情報ネットワークを活かして、各診療科の教授陣が推薦する『日本トップクラスの名医をご紹介』するサービスです。ご病状やご要望に基づき、最適な名医を選任し、診察から治療まで一貫したサポートをご提供します。

さらに、経験豊富な看護師が患者さんの要望に寄り添い、病院でのお出迎えから外来予約手続き、入院時の様々なご要望への対応、そして名医へのご相談対応など、治療全般をサポートします。

BeMECのサービスは、患者さんが必要とする医療サービスに迅速にアクセスできるように、その過程を円滑に進め、安心して最適な治療を受けられることを目指しています。BeMECの名医紹介サービスを通じて、信頼できる医師と出会い、最高の医療サービスを受ける喜びをご実感いただけると思います。

おわりに

肝臓がんには、早期発見と適切な治療選択が必要不可欠です。そのためには、経験豊かで信頼できる医師に診てもらうことがとても重要となります。ご自身やご家族の健康を守るためにも、定期的な健康診断を受けることをお勧めいたします。また、最適な医療を選択できるよう、最新の情報を常にキャッチアップし、信頼できる専門家と相談することを心掛けてください。

記事監修 小野正文について

小野正文 教授(医師・医学博士)
香川大学医学部肝・胆・膵内科学先端医療学 教授 
東京女子医科大学足立医療センター内科 非常勤講師
日本肝臓学会専門医・指導医・評議員 
FeliMedix株式会社 創業者・医療顧問 
高知大学医学部大学院医学研究科卒。

非アルコール性脂肪肝炎(NASH)、メタボ肝炎の研究・診断・治療の我が国を代表する「トップ名医・研究者」の一人。NASH研究の世界的権威である、米国Johns Hopkins大学 AnnMae Diehl教授および高知大学 西原利治教授に師事。2011年から10年に渡り、診療指針の基準となる「NAFLD/NASH診療ガイドライン」(日本消化器病学会・日本肝臓学会)作成委員を務める。

受賞:2000年第13回日本内科学会奨励賞受賞, 2008年第43回ヨーロッパ肝臓学会(EASL)、
2008 Best Poster Presentation Award受賞など国際的に高い評価を得ている。また、NASHに関する和文・英文の著書・論文数は400編を超える。

代表論文:Lancet. 2002; 359(9310), Hepatology. 2007; 45: 1375-81, Gut. 2010; 59: 258-66, Hepatology. 2015; 62: 1433-43, Clin Gastroenterol Hepatol. 2022 Jan 17, など