血栓症
血栓症は、血管内で血液が凝固し、塊状の塊や血栓が形成される状態を指します。この血栓が血管内でできると、血液の流れが妨げられ、重要な臓器や組織に十分な酸素や栄養が届かなくなります。血栓症は、静脈血栓症(主に深部静脈血栓症)と動脈血栓症(心臓や脳などの動脈での血栓症)の二つの主要なタイプがあります。
静脈血栓症は、主に下肢の深い静脈で血栓が形成され、これが分離して肺塞栓症を引き起こすことがあります。静脈血栓症の代表的な病気のひとつに、エコノミークラス症候群があります。
エコノミークラス症候群は、深部静脈血栓症と肺塞栓が同時にみられる病気のことです。飛行機などで長時間足を動かさずに同じ姿勢でいることで、足に血栓ができることがあります。
その血栓の一部が血流にのって肺まで流れ、肺の血管を閉塞してしまうことで、呼吸困難や失神などの症状を起こす大変危険な病気です。一方、動脈血栓症は、心臓や脳などの動脈で血栓が形成されることで、心筋梗塞や脳卒中を引き起こす可能性があります。
血栓症の予防や治療には、抗凝固薬や抗血小板薬が使われます。また、適切な運動、バランスの取れた食事、喫煙や過剰なアルコール摂取の制限、充分な水分補給、定期的な健康診断なども重要です。症状が見られる場合は、早めの医療の受診が大切です。
投稿者
小野正文 教授(医師・医学博士)
香川大学医学部肝・胆・膵内科学先端医療学 教授
東京女子医科大学足立医療センター内科 非常勤講師
日本肝臓学会専門医・指導医・評議員
FeliMedix株式会社 創業者・医療顧問
高知大学医学部大学院医学研究科卒