クローン病
クローン病は、潰瘍性大腸炎とともに炎症性腸疾患(IBD)の一種で、口から肛門までの消化管全てにびらん(ただれ)や潰瘍(粘膜の下の層までえぐれた状態)などの慢性的な炎症が生じる病気で、特に小腸と大腸での発生が多くなっています。
症状は腹痛、下痢、発熱、体重減少、疲労感などが含まれます。病気の進行により、腸壁に潰瘍や瘢痕・狭窄が起こることがあります。発症は、男女比では2:1で、男性が20~24歳、女性が15~19歳を発症のピークとし、多くが10歳代~20歳代の患者さんです。
クローン病の原因ははっきりとはわかっていませんが、免疫系の過剰な反応や遺伝的な要因、環境要因が関与すると考えられています。
治療には5-アミノサリチル酸薬(5-ASA)製薬などの抗炎症薬、副腎皮質ステロイド薬や免疫抑制剤、抗TNFα受容体拮抗薬など注射薬、栄養療法、手術などがあり、症状の軽減や寛解、合併症の予防が目的です。
治療は患者の症状や病気の進行具合によって選択されます。クローン病は一生涯続く慢性疾患であり、定期的な医療管理や生活習慣の改善が重要です。
投稿者
小野正文 教授(医師・医学博士)
香川大学医学部肝・胆・膵内科学先端医療学 教授
東京女子医科大学足立医療センター内科 非常勤講師
日本肝臓学会専門医・指導医・評議員
FeliMedix株式会社 創業者・医療顧問
高知大学医学部大学院医学研究科卒