逆転写酵素阻害薬
逆転写酵素阻害薬は、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)やB型肝炎ウイルス(HBV)などの逆転写酵素を抑制する薬の総称です。
逆転写酵素は、HIVやHBVの遺伝子情報をウイルスのRNAからDNAへ逆転写する酵素であり、これによってウイルスが宿主の細胞に組み込まれ、増殖が始まります。
一方、逆転写酵素阻害薬は、この逆転写酵素の働きを妨げて、ウイルスの複製を抑制します。これにより、ウイルスの増殖を抑え、感染症の進行を遅らせる効果が期待されます。
HIV感染症治療の主要な薬物クラスであり、抗レトロウイルス療法(ART)として、また、B型肝炎については核酸アナログ製剤として広く治療に利用されています。逆転写酵素阻害薬は、複数の種類があり、各種の逆転写酵素に対する作用機序や特性が異なります。
組み合わせて使用することで、ウイルスの耐性を低減し、治療効果を高めることが目指されています。長期的かつ効果的な治療には、適切な薬物の選択と管理が必要です。
投稿者
小野正文 教授(医師・医学博士)
香川大学医学部肝・胆・膵内科学先端医療学 教授
東京女子医科大学足立医療センター内科 非常勤講師
日本肝臓学会専門医・指導医・評議員
FeliMedix株式会社 創業者・医療顧問
高知大学医学部大学院医学研究科卒