肝動脈化学塞栓療法(TACE)
肝動脈化学塞栓療法(TACE)は、主に肝臓がん治療に用いられるカテーテルを用いた治療法です。この治療では、がん細胞の栄養源である肝動脈に対して化学的な物質や微小な粒子を注入し、がん細胞の血液供給を遮断します。これによりがんの成長を抑制し、縮小させることが狙いです。
具体的な手順は、まず、患者の大腿動脈(時には腕の動脈)などからカテーテルを挿入し、肝臓の血管である肝動脈に進めます。
次に、がん組織への血流を遮断するため、微小なビーズや抗がん剤を含む物質を肝動脈内に注入します。これにより、がん細胞への栄養供給が減少し、がんの進行を抑制する効果が期待されます。
TACEは、がんの進行を抑制するだけでなく、手術の適用が難しい場合や他の治療の補完および併用治療としても利用されます。病状や患者の状態に応じて適切な治療法を選択する際に、医師との十分な相談が重要です。
投稿者
小野正文 教授(医師・医学博士)
香川大学医学部肝・胆・膵内科学先端医療学 教授
東京女子医科大学足立医療センター内科 非常勤講師
日本肝臓学会専門医・指導医・評議員
FeliMedix株式会社 創業者・医療顧問
高知大学医学部大学院医学研究科卒