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コラム・インタビュー- COLUMN / INTERVIEW -

病理標本をバーチャルスライドでデジタル資産に|研究・教育への活用と始め方

コラム

研究室や病理部の標本棚に、長年保管されたままになっている病理標本はないでしょうか。

過去の研究や共同研究で作製した標本、貴重な症例の標本のなかには、現在では再び入手することが難しいものも少なくありません。

こうした標本は、保管しているだけでは退色や劣化が進む可能性があります。状態のよいうちにバーチャルスライド化しておけば、新たな研究や教育に活用できる「デジタル資産」として残せます。

本記事では、病理標本をバーチャルスライド化するメリットと、無理なく始めるための考え方をご紹介します。

病理標本のバーチャルスライドとは?

バーチャルスライドとは、病理標本(ガラス標本)を専用スキャナーで高解像度に読み取ったデジタル画像と、それを閲覧するシステムの総称で、WSI(Whole Slide Imaging)とも呼ばれます。

標本の一部を切り取った写真とは異なり、標本全体が1つの画像として記録されるため、パソコンの画面で顕微鏡を操作するように、任意の位置と倍率で観察できるという特徴があります。

スキャン時点の標本の状態をデータとして保持できる点が、保全や共有、二次活用の基盤になるといえます。

ただし、焦点調整など顕微鏡観察とは扱える範囲が異なる部分もあるため、目的に応じた使い分けが現実的です。

病理標本をバーチャルスライド化するメリット

バーチャルスライド化の価値は、ガラス標本をデジタル保存できることだけではありません。

ここでは、研究・共同研究・教育の3つの場面で得られる主なメリットをご紹介いたします。

過去の病理標本を研究に再活用できる

バーチャルスライド化しておくと、過去に作製した標本を現在の視点から再評価したり、新たな研究テーマに沿って解析し直したりすることが可能になります。

病理画像の定量解析やAIを利用した画像解析など、標本を作製した当時にはなかった研究手法に利用できる可能性もあります。

ただし、解析の目的によって必要な画質やスキャン条件は異なるため、用途を見据えて作製条件を決めておくことが望ましいとされています。

標本棚に保管されている過去の病理標本が、新しい研究データの入り口になることもあるといえます。

原本を動かさずに共同研究で共有できる

ガラス標本を共同研究者へ送る場合には、梱包や発送の手間だけでなく、輸送中の破損や紛失といったリスクもともないます。バーチャルスライド化しておけば、原本を手元に保管したまま画像データを共有できます。

遠隔地の研究者とのディスカッション、カンファレンス、学会発表などにも活用しやすく、同じ画像を複数の研究者が確認できる点も利点です。

とくに再作製できない貴重な症例では、原本を何度も移動させずに済むこと自体が標本保全につながります。

なお、病理診断を目的とした画像の共有は、研究や教育での共有とは求められる要件が異なるため、用途に応じた確認が必要になります。

教育用の病理画像として活用できる

典型的な病理像や希少疾患など、教育的価値の高い標本をバーチャルスライド化しておくことも有用です。

学生や研修医への教育では、限られたガラス標本を順番に観察するのではなく、同じ病理画像を使って所見を共有できます。

症例ごと、疾患ごとに画像を蓄積していけば、施設独自の教育用病理画像データベースとして活用していくことも可能です。

どの標本をどの用途で使いたいかを整理しておくと、作製会社へ相談する際にも必要な条件を伝えやすくなります。

必要な病理標本だけバーチャルスライド化するという選択

すべての病理標本を一度にデジタル化する必要はありません。まずは、以下のように必要性の高い標本からバーチャルスライド化する方法もあります。

  • この研究に必要な標本だけ
  • 貴重な症例の標本だけ
  • 学会で使用する標本だけ
  • 今後の解析に使う可能性がある標本だけ

専用スキャナーを自施設で導入する場合は、設備投資に加えて、維持管理やスキャン作業の負担も生じます。

少数の標本や特定の研究プロジェクトであれば、必要なときに外部へ依頼するほうが合理的なケースもあります。

バーチャルスライド作製を外部へ依頼する際に確認しておきたいポイントについては、以下の記事で詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。

関連記事:病理標本のバーチャルスライド作製を外注する前に確認したい5つのポイント

病理標本のバーチャルスライド化はFeliMedixへご相談ください

FeliMedixでは、病理標本のバーチャルスライド作製を1枚から承っています。

なかでも重視しているのが画質です。病理標本は、一度デジタル化したあとに別の目的で再評価したり、より詳細な画像解析に使用したりする可能性があります。

そのためFeliMedixでは、将来の活用まで考え、すべての標本を40倍の高精細スキャンでバーチャルスライドを作製しています。

「とりあえず画像にしておく」のではなく、貴重な病理標本をできるだけ高精細な状態でデジタルデータとして残す。それが、FeliMedixの考えるバーチャルスライド化です。

なお、仕上がりは標本の状態によって異なります。

研究室に眠っている標本を、もう一度研究に活用してみませんか?少数の標本からでも対応していますので、まずはお気軽にご相談ください。

※受付対象は明視野のHE染色・特殊染色で、蛍光染色には対応していません

まとめ

過去の研究標本や共同研究で扱う標本、教育的価値の高い標本は、保管しているだけでは退色や劣化が進む可能性があります。

バーチャルスライド化は、こうした標本を研究・共同研究・教育に活用できるデジタル資産として残す手段の一つです。

すべてを一度にデジタル化する必要はなく、必要性の高い標本から始める方法もあります。

適したスキャン条件は標本の状態や用途によって異なるため、依頼前に目的を整理しておくと判断しやすくなります。

FeliMedixでは、1枚からのバーチャルスライド作製に対応しています。どの標本から始めるか迷われている場合でも、まずはお気軽にご相談ください。

投稿者

小野正文 教授(医師・医学博士)

横浜市立大学医学部肝胆膵消化器病学 客員教授
大阪大学大学院医学系研究科 招聘教授
香川大学医学部肝・胆・膵内科学先端医療学 元教授 
FeliMedix株式会社 代表取締役会長・創業者・代表医師
高知大学医学部大学院医学研究科卒