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コラム・インタビュー- COLUMN / INTERVIEW -

耳鳴りの概要と名医の条件について

コラム

耳鳴りについての概要

定義

耳鳴りは、実際には音がしていないのにもかかわらず、どちらかの耳元や耳の奥でキーンという音やジーンという音を感じる現象です。

症状

さまざまな音が聞こえることがあり、高音や低音、キーンという音やジーンという音、ジュージューとした音、ピーピーとした音などが一般的です。

耳鳴りの種類と原因

主観的(自覚的)耳鳴り

患者自身が耳鳴りを感じるが、外部の人が聞こえないもので、メニエ-ル病、突発性難聴、内耳炎、内耳の病気、鼓室硬化症、中耳炎などの耳の病気のために起こるものが一番多いです。

客観的(他覚的)耳鳴り

医師や他の人が患者の耳から発する音を聞くことができるもの。血管異常、血管性耳鳴りや筋肉性耳鳴りであることが多いです。 

日常生活でできる耳鳴りの軽減方法

ヘッドホンやイヤホンで大きな音を聞き続けない、ヘッドホンやイヤホンを1時間以上使ったら耳を休ませる、など耳への負担を軽減するよう心がけましょう。

耳鳴りの治療法

残念ながら、耳鳴りの特効薬はありませんが、耳鳴りの原因が明らかになっている場合には、その治療を行う必要があるため、耳鼻科を受診して検査を行ってください。

原因に対する治療

耳鳴りの原因が特定できれば、その治療が行われます。

音響療法

耳鳴りよりも小さな音を長時間流して聞くという治療法で、聞き続けて耳鳴りが際立つような静かな環境をなるべく作らないようにすることで、耳鳴りが気にならないようにしていきます。補聴器のような形をした機器「TCI(tinnitus control instrument;耳鳴り制御機器)」を用いて行うのが主流です。すぐに効果が出ないため根気よく続ける必要があります。高価なため購入が難しい場合はCDなどの音源を、補聴器を介して聞く方法もあります。 

認知行動療法

耳鳴りに対するストレスや不安の管理を目的とする心理的なアプローチです。

耳鳴順応療法(TRT療法)

「音響療法」と「指示的カウンセリング(耳鳴りに対する正しい理解・知識を学ぶこと)」を組み合わせることで、耳鳴りを完全消失させるのではなく、“耳鳴りとの共存を目的“として、耳鳴りを気にしなくさせる治療法です。欧米を中心に行われており、日本でも10年前くらいから広まってきた新しい治療法になります。

耳鳴りの名医の条件

耳鳴りは、耳鼻咽喉科に受診しましょう。耳鳴りはさまざまな原因(病気)から来る場合もあるため、耳鳴りが起こる原因(病気)について熟知しており、治療経験豊富な耳鳴りの専門医であることが望ましいです。また、耳鳴りは原因がはっきりしない場合が多く、特効薬や著効する治療法がないため、患者とのコミュニケーションが円滑で患者の症状や不安に理解を示してくれる医師であるかを見極めることが大切です。

投稿者

小野正文 教授(医師・医学博士)